 シクロ体験を終えて再びバンに乗り込むと、僕はこのツアーを「Fake Tour(偽物ツアー)」と呼び始めた。しかし、たった2日のベトナムである。楽しもうと思い直した。次の予定はドンユイ通りの散策。 ただその通りはわれわれのホテルのすぐ裏の通りだったので、ホテルの前で降ろしてもらい、夕食のときに再びジョーと会うことにした。ジョンとともに歩いた。そして、歩いた。シクロやバイクに乗らないかという誘いをことごとく断り、街をぶらついた。ごみごみしたマーケットの中でビールを飲むことにした。
その屋根のある大きなマーケットには布、くつ、服、おみやげ、コーヒー、かばん、陶器、何でも売っていた。中央部分に小さな屋台風のお店が7〜10店並んでいた。ビールはTiger BeerとSaigon。この後にツアーに含まれている食事をすることになっていたので、食べるつもりはなかったが、スープぐらいならと頼んだ。どのメニューも1ドルだった。お母さん風の人が、「あいよ。」という感じで作り始める。
出てきたものはスープではなかった。「野菜うどん!?」その上に生の葉っぱ。ベトナムではいつも入れる。からだがかゆくなってから、生の葉っぱは食べないことにした。ベトナム料理は何かいつも食べるときにウッとする。匂いが鼻につく。まるで○○コのような味がするのである。慣れれば大丈夫・・・だろうか?ごめんなさい。ベトナムの皆さん。ビールが入って少しほろ酔い加減でホテルに帰る。6時半に再びジョーは現れた。バンに揺られて10分ほどでレストランに到着。今日はベトナムでは大安のようで、昼間から赤と白とピンクの風船がアーチ型に店やホテルの入り口に飾られていた。このレストランでも結婚式をやっているようだ。レストランの前には、プレゼントのように車に大きなリボンがつけられている。結婚式が行われている場所と反対側にはほとんど人はいなく、日本人の中年女性4人がすでにベトナム料理を楽しんでいた。そこで、ベトナム料理のフルコース。満腹になってホテルに帰り、再び街に繰り出したものの、これ以上おなかには何も入らなかった。飲みに行こうとジョンは誘うが、もう無理だった。もっとベトナムの夜を楽しみたいというジョンは夜の街へ消えていった。
次の日の朝もいい天気だった。メコン川クルーズ。なんといい響きだろう。ホーチミンから南へ70キロほど行った河口の町ミトーへ出発。ひたすら車に揺られて到着。目の前には壮大なメコン川が横たわっていた。多くのベトナム人の船乗りたちが川沿いにズラズラっと並んでいた。聞くところによると、イラク戦争と原因不明の肺炎(そうその時は表現していた)の影響で多くの日本人がベトナム行きをキャンセルしたらしい。何といってもベトナムにとって日本人がいいお客らしい。現にジョーは日本語は話せるが、英語は全くだめらしい。このメコン川クルーズには、ベトナム帽子と青色のアオザイを着たリンさんというガイドを連れてきた。さっそく、リンさんと助手、運転手を含めた5人がボートに乗った。どこにいくかも分からないが、2時間のツアーらしい。ジョーは「さようなら。」と言って消えていった。まもなくボートが走り出す。
最大3kmの幅を持つメコン川はすでに海のように見える。ボートのエンジン音と水を切る音、35度の熱気、青い空と真っ白な入道雲は日常を忘れさせてくれる。ガイドのリンさんがいろいろと話をしているが僕はあまり耳を傾けない。ジョンがいろいろと質問している。ジョンは新しい人と深く話しをするのが好きなようだ。リンさんの戦争観、昔亡くしたリンさんのお父さんのこと。今の仕事と以前の仕事のことなど細かく聞いていた。30分ほどでメコン川に浮かぶ島に到着した。(つづく) |