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インドの旅4

ごみごみとした街は、人と車と自転車、バス、リクシャーと呼ばれる人力車であふれていた。道路はボコボコで建物も崩れかけだった。これまで旅をした中国やベトナムをさらに古くしたような無秩序さを感じる。こんなところで迷ったらとんでもないことになる。カジとナシャが簡単にタクシーを捕まえ、3人でガンガー(ガンジス川)に向かった。

タクシーはもちろんきれいとは言えない。エアコンはついていないので窓は開けっ放し。うだるような暑さの中、車を走らせる。日本と同じ右ハンドルで左側通行。イギリスと日本だけが左側通行と思っていた。昔イギリスの植民地だったことを思えば納得できる。しかし、英語は公用語にもかかわらず、半分以上の人が英語が話せないように思える。みんなヒンドゥー語を話す。メーターは10ルピー(約25円)からスタートなのでたいしたことはない。

 ガンガーに到着。値段交渉をしてボートに乗る。茶色い水。鉄がさびたような色だ。これは彼らにとって神聖な水だ。すぐにその水で顔を洗っていた。「ブラザーも」と勧められたが、手で触るのが精一杯だった。2人の青年は楽しそうだった。ゆったりと流れるガンガーの上で、大きな声で歌い、そして踊る。ゆったりと不思議な時間が流れる。カジが腕相撲をやろうと言う。カジの体は大きくない。あっけなく勝った。ここから「ブラザーは強い。」ということになった。

 ボートを降りると、カジのおじさんに会う時間になった。さっきと同じ食堂に戻る。しばらくすると、ひげをはやしているが、小さくこざっぱりしたおじさんが入ってきた。お互い自己紹介をする。この人の英語はわかりやすい。僕が英語を話すことにも驚いていた。家族のことを詳しく聞いてくる。「今からサリー(インドの民族衣装)を買いに行くから、お前も父親・母親・妻に買っていってはどうだ?」という。話を合わせ、4人で食堂を出る。このおじさんははっきりと物を言う。すぐに「What do you think?」と聞いてくるので困る。自分の問題意識のないことまで聞いてくるので、どう答えていいかわからないことがある。街を一緒に歩きながら、「こいつら(カジとナシャ)は君に会えてうれしいらしい。」と言ってくれる。「Me, too.」と言うと、カジが握手をしてくる。

 マーケットの地下にあるサリーの店に入った。「100%カシミヤのいいものを見せろ」と大声で店員に話しかける。小さな店の奥に進み、2畳ほどのスペースに4人で腰を下ろす。狭いので体操座りをすると、おじさんは「こう座れ」とあぐらをかいてみせる。店員が、店の奥の倉庫からたくさんのサリーを持ってくる。若い店員に「こんなものを俺に見せるな。」「もっといい色を見せろ!」とどなる。それでも、いい柄、色、質のものには、「ホラ、見てみろ。これが本物のカシミヤだ。」と得意げに見せるのだった。自分にとってそんなことはどうでもよかった。これをお土産として買うつもりもなかった。しかし、おじさんはどうも買って欲しいらしい。次々にサリーを広げる。「気に入ったものがあれば、とりあえず自分の横に置いておけ。」と言う。仕方なく、クリーム色と青色のサリーを自分のサイドに置く。「いくらだ?」とおじさんに聞くと、「任せておけ。金のことは俺が交渉するから。」とまたまた得意げに言う。インド人は人に親切にすることが好きなのだろうか?それともこの3人だけなのだろうか?おじさんは3つ4つのサリーを、カジとナシャは2つずつ取った。結局、一つ100ドル以上もするので、「買わない。」と言うと、畳み掛けるようにして「どうしてだ?」「なぜだ?」「これは本物のカシミヤだぞ。君の親も妻も気に入るよ。」「俺と一緒にいるときに買った方がいい。」と詰め寄る。ここではっきり言わないとダメだと思った。「いらない。」と強い口調で言うとあきらめた。その後もつまらなそうにしていると、「お前らはもういい。」と言って解放してくれた。再び街に出る。列車の切符が手に入るまでまだ4時間以上あった。タクシーを貸しきって3人でコルカタの街を観光することにした。
(つづく)

 
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