志門塾
お問い合わせ サイトマップ
HOME 志門塾ご案内 こころざしWeb 会社案内 採用情報
こころざしWeb
生涯学習部
こんな話
カルチャーショック
オススメBOOK
意見広告
記事検索
探す校舎を探す
探すコースを探す
こんな話
『人との心地よいつながり』
『人との心地よいつながり』

私は大学卒業後に、青年海外協力隊というボランティア活動に参加しました。これは開発途上国と呼ばれている経済的に貧しい国々を援助するための、日本政府が実施しているボランティア活動です。私がこのボランティア活動に参加した理由は、日本で生活しているだけでは体験できないような世界を見てみたい、という漠然とした思いがあったからです。

派遣先の国は、南アジアのインド洋に浮かぶモルディブという国です。活動期間は2年半で、ボランティアの内容は、「娯楽がほとんどない地方の島々で卓球というスポーツを普及させることにより、現地の人の人間性を育むと共に、卓球人口の底辺を拡大すること。」というものでした。期間の最後に島対抗の卓球大会を開催することができ、卓球というスポーツを伝えることができたと思います。彼らに、卓球というスポーツとともに、野田正雄という日本人の卓球コーチが島にやってきたことを忘れないでいてもらいたいです。私も彼らのことを絶対に忘れることはありません。

この活動期間中の楽しかったこと、驚いたこと、逃げ出したかったこと、怖かったこと、様々な思いが脳裏に焼きついています。その中でも、到着時の記憶は強く残っています。

モルディブに到着し、2週間ほど現地の言語(モルディブ語)を学習したあと、私の活動先の島に入りました。人口が5000人ほどの島で日本人は私ひとりでしたので、ものすごく不安でした。みんな仲良くしてくれるのか、食べ物はおいしく食べられるのか、病気になったらどうしよう、変な生き物とかいるんじゃないのか…。どちらかといえば気が小さい私にとって、ものすごく刺激的な毎日が始まりました。最初に驚かされたのは、現地の人の「まゆげ」でした。全然知らない人なのに、目が合うとその人のまゆげがピクピクと上下するのです。それが、1人や2人ではないのです。ものすごい数の人のまゆげがピクピクしているのです。これが一体何を意味するのかということは、すぐに分かりました。このまゆげの動きは、あいさつだったのです。初めて出会った人同士でも、このまゆげのあいさつのおかげで打ち解けるきっかけとなるのです。言葉をかけることよりも気軽に行えるまゆげのあいさつによる交流。このような文化があるモルディブを、私はうらやましく思いました。人と人とのつながり、そして温かさを感じられたからです。すぐに、私はこのまゆげのあいさつを習得しました。

一方で、モルディブという日本とは異なった文化の国で、腹立たしさを感じる時もありました。それは、「時間」に関してのことです。現地の人と、この時間にここへ来てほしいという約束をしても守ってもらえないことが非常に多かったのです。

やはり、最初の頃、私が持つ日本人としての気質からか、時間を守ってくれない生徒や同僚に苛立ちを感じ、ぶつかっていました。最初は外国から卓球のコーチがやってきたと歓迎してくれていた様子だったのですが、徐々に口やかましい人がやってきたと感じられるようになったのか、現地の人と隔たりができてきたように思えました。結局、最初に赴任した島では職場での人間関係がうまくいかず、私の活動する島を変更することになりました。私は逃げてしまいました。この時、私はいい加減な性格に思えた現地の人のことを嫌いになっていました。

しかしながら、しばらくして気付いたことですが、日本とは違いこの島ではゆっくりと時間が流れているのです。そのため、余裕をもったスケジュールが何についても組まれていたのです。だから、「時間を守ることは当然のことやろ!」とは、日本人の考え方だったのです。日本では当たり前でも、この国では当たり前ではありませんでした。厳しく言って自分が正しいと感じている習慣を指導することが、日本の文化を押し付けているとも考えられました。しかし、時間を守ることは大切であるという強い思いもあったので、どうしたらいいのか真剣に悩みました。

私はその後、島の人たちに強く「時間を守れ!」ということは言いませんでした。私が行ったことは、自分は自分の信念で時間は守り続けるということでした。すると、数ヶ月という時間が経つにつれて、私がしっかりと時間を守って行動しているということを感じてくれるようになり、私と接するときは時間を守ってくれるようになっていったのです。このことから、違う文化の世界において、押し付けでも妥協でもない共存方法があるということが実感できました。それは、現地の人が私の行動を受け入れてくれたということになります。お互いがお互いを思いやれば、異なった文化の中でも気持ちが通じ合うことができるのです。いつの間にか、私は現地の人のことが大好きになっていたのです。

このモルディブでの経験により、異文化に限らず、家庭、学校、会社、サークルなどどんな社会においてもその場その場のルールだけで動くのではなく、他者を理解し、お互いを尊重しあう人間関係を構築することが、気持ちの通じ合った心地よさにつながると実感できるようになりました。

 
前回のこんな話 次のこんな話
HOME志門塾ご案内こころざし会社案内採用情報お問い合わせサイトマップ
All Rights Reserved, Copyright (C)SHIMON 2004